今回のコラムから、「赤ペンチェック」シリーズをスタートします。
人気のあの本、評判のよいあの本。
仕事に役立ちそうで読みたいけれど、忙しくて時間がない。。
そのような悩みを持つ方に、各書籍の原文を紹介します。
ピックアップする原文は、みらい絵代表の独断によるもの。
原文全体を通して気になるところが多いようでしたら、書籍をお手に取ってみてください。
『お客さまには「嬉しさ」を売りなさい』
今回取り上げる本は、佐藤義典さんの『お客さまには「嬉しさ」を売りなさい』。
佐藤さんは『ドリルを売るには穴を売れ』など、マーケティング関連の本を多く出版している方。
たくさんある著書のなかでも、特に読みやすいのが本書です。
忙しい方もパラパラっと読めるかと思います。
はじめに
マーケティングとは、お客さまに「嬉しさ」を提供して対価を得ること。
マーケティングとは、「お客さまの立場に立って考える」という、ただそれだけのこと。
お客さまは、「自分を嬉しくしてくれるモノ」を買います。売り手の役割は「お客さまに嬉しさを提供する」ということ。
経営環境が厳しい場合、売上・利益・そしてその成長率の4割以上はマーケティング戦略で決まる。
マーケティング戦略:顧客に自社を選んでいただく理由をつくる
序章 お客さまは嬉しさを買っている
お客さまにとっての「商品・サービス」は、「嬉しさ」を手に入れるための手段。この当たり前のことがマーケティングの極意です。
「どんなとき」に、その嬉しさを感じるのでしょうか?
それは「商品サービスをつかうとき」。「使うときが嬉しいとき」なのです。
アイスを食べておいしさを味わっているときが、嬉しいとき。
嬉しさを感じるときは1つに限らず、無数にある。
しかし売り手は、売れた瞬間に仕事が終わったと考えてしまいがち。
お客さまの「嬉しさ」「嬉しいとき」をきちんと把握できている会社は少ない。
売れない商品・サービスができる要因の1つは、そのあたりにある。
お客さまの嬉しいときを知るには、お客様に聞いてみるのが最善策。
「嬉しさ」と「課題解決」は同じこと。
企業の売上は、「嬉しさ」「課題解決」の対価
戦略とは、「強み」をつくり、「強み」を活かして戦うこと。
自社が提供する嬉しさに「独自性」があるほど、自社商材が選ばれやすくなります。「独自の嬉しさ」が、お客様が自社を選ぶ理由になる。
お客さまに選ばれる理由(=独自の嬉しさ=強み)をつくることが、マーケティング戦略の真髄。
お客さまに提供する「嬉しさ」をひたすら高め、それが競合が提供する嬉しさを大きく上回れば「独自の嬉しさ」となる。
1章 セグメンテーションとターゲティング~誰がどんなときに、どんな嬉しさを求めるか?~
人にとって求める嬉しさや解決したい課題が違う。
求める嬉しさが違うために、求める商品も違う。
人によって求める嬉しさが変わるので、うれしさに応じて対応する必要がある。
グループ分けしたお客さまに狙いをつける。
同じ人でも、TPOによって求める嬉しさは変わる。
具体的なTPOに落とし込むことで、使い方や利用場面を詳細に描き出すことができ、そのときに選ばれる商品・サービスを考えられるようになる。
人によって、使い方によってうれしさが違うから、わけて対応する。
顧客を絞らなければ、誰にも売れない。
「万人向けにしたがために、かえって売れない」というのは、マーケティングにおける「あるある」の1つ
絞ったお客様に振り向いてもらえるように、細く鋭い矢を放つ。
大手は「細く鋭い矢」をたくさん放ち、特定の分野の小さな会社は「磨き抜かれた細く鋭い矢」を1本だけ放っている。
2章 戦場・競合~お客様に同じ嬉しさを提供する他の選択肢は何か?~
誰が競合となるかを決めるのはお客さま。
「もしうちの商品・サービスがなかったら、何を買いますか?候補に挙がりますか?」と聞いた時の答えが、あなたの商品・サービスの競合。
お客様に選ばれるためには競合についても考えておく必要がある。
3章 強み~お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由(独自の嬉しさ)は何か?~
「強み」は、「お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由」です。
強みは「競合との嬉しさの差」。「機能・性能の差」ではなく「嬉しさの差」です。
強みは「お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由」なので、顧客と競合が明確されなければ強みは分かりません。
「誰にとって(顧客)」「誰と比べて(競合)」という視点が重要。
「強み弱み分析をすべき」などと言われますが、顧客と競合を決めずに「強み」や「弱み」を考えることは、無意味どころか誤った結論を導く。
ターゲットが変われば競合も変わり、競合が変われば強みも変わる。
強みの3つのパターン
手軽軸:他より早い、安い、便利
商品軸:他より品質がいい、最新の技術を使っている
密着軸:他より顧客一人ひとりのことをよく知り、個別の好みに合わせる
4章 独自資源~強み(独自の嬉しさ)を競合がマネできない理由は何か?~
独自資源とは「競合がマネできない理由」
「独自の嬉しさ」は、マネされたら「独自」ではなくなる
売り手としては「競合にどうマネされないようにするか」を考えることも重要
マネしないのか?マネできないのか?
独自資源は、その「独自の嬉しさ」を「独自に作り出す能力」であり、競合がマネできない理由となります。
独自資源は「ハード資源」と「ソフト資源」の2つに大別できます。
ハード資源の典型は、設備、技術、特許、立地など。
ソフト資源の典型は、理念・歴史・経験・スキル・能力・ノウハウ・人材・組織・顧客との関係など。
独自資源のない強みは維持できない。
「ブランドをつくる」とは、お客様に「強みを約束」して守り続ける事。
5章 メッセージ~強み(独自の嬉しさ)を顧客にどう伝えると刺さるか?~
顧客が競合ではなく自社を選ぶ理由、つまり「強み(独自の嬉しさ)」をマネされないように作ることが、マーケティングの中核。
ここまではすべて「概念」の話。この概念を具体的な現実としてお客様に「見える」ようにするのが「メッセージ」です。
お客様にとって「自分に伝わっていないこと」は「存在しない」のと同じ。
「嬉しさ」が伝わらなければ、どんなにいい商品も売れない。
「おいしい」と「おいしそう」は全然違います。
おいしいかどうかは実際の商品の話。
おいしそうかどうかは「メッセージの伝え方」です。
買う前に重要なのは「おいしそう」であること。
最初の購買のときに大事なのが「おいしそう」なことで、リピート購買のときに大事なのが「おいしい」ことです。
「おいしい」だけでは、初回購買は起きないのです。
これは食品はもちろん、すべての商品・サービスについても同じです。
「いいものを作ってるのに売れない」原因の1つが、メッセージを伝える努力や工夫の不足。よさが伝わっていないのです。
もう1つの原因は、いいと思っているのは自分だけで、お客様はそう思っていない、というもの。
6章 マーケティングとは嬉しさ競争です。
お客様が嬉しいもの、すなわちお客様が欲しいものはは売れる。
自社がお客様に「競合にはマネできない独自の嬉しさ」を提供できれば、お客様に選んでいただける。
チェックポイント
- 競合にはない「独自の嬉しさ(強み)」を提供しているか?
- 強みが、顧客の「嬉しさ(=使い方・TPO」とドンピシャで合っているか?
- 強みが「独自資源」に基づいており、競合がマネしにくいか?
- 顧客の嬉しさに刺さる「メッセージ」を出しているか?
マーケティングのゴールは、お客様との相思相愛。
マーケティング戦略の本質とは、お客様に提供する嬉しさをひたすら高めていくことだけ。
その嬉しさを高めていくほどに、自社にしか提供できない独自の嬉しさになります。
それが「強み」、すなわちお客様が自社を選ぶ理由になります。そして、その嬉しさを「メッセージ」でいかに魅力的に伝えるか。
独自の嬉しさを提供できれば、競合との価格競争にもなりません。
企業の競争力とはただ1つ、「お客様への嬉しさ提供力」なのです。
終わりに
以上、佐藤義典さんの『お客さまには「嬉しさ」を売りなさい』をご紹介しました。
お客様に喜んでいただくには、どうすればいいのか。そのことが分かりやすく体系的に書かれた良書です。
省略しているところが大分あるので、ご興味お持ちいただけましたら書籍をお手に取ってみてください。
また個人的な所感として、本書ではメッセージの作り方が弱いように思いました。
それを補うセールスライティング系の書籍も、今後ご紹介する予定です。
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