雑草はしぶとく、強い植物であると思われがち。
でも実際には、背丈の大きな木などとの戦いを巧みに避けながら生き残り続けている「弱い」植物です。
その生存戦略をビジネス戦略と絡みながら解説する挑戦的な本が
『雑草という戦略 予測不能な時代をどう生き抜くか』。
早速赤ペンチェックしていきます。
はじめに
現代は「VUCAの時代」
時代の変化のスピードは加速するばかりだ。もはや予測不能であるし、世の中は不確実や不透明なもので溢れている。
雑草が得意としている環境は「予測不能な激しい変化が起こる場所」である。
もし私たちが生きている現代が、予測不能な変化の時代なのだとしたら……
雑草の戦略が役に立たないはずがない。
1章 「雑草」という戦略
雑草こそがもっとも進化した植物である
もっとも進化したものが、もっとも地べたに近いところで花を咲かせている
自然界は厳しい競争の世界である
勝ち抜かなければ自然界に居場所は与えられない
2章 生物にとって「強さ」とは何か?
気が有利な場所に木が生える。草が有利な場所に草が生える
どちらの戦略が優れているということではなく、どのような場所で生えるのかということが大切
生物の世界についていえば、コア・コンピテンス(「他社を圧倒的に上回る能力」や「他社にまねできないような核となる能力」)こそが、戦略で最も重要
生物の世界でそれは「ニッチ」という言葉で表されている
生物の世界では「ナンバー1しか、生き残れない」という明確な鉄則がある
あるエサを巡ってはナンバー1、ある季節であればナンバー1、ある時間であればナンバー1というように、同じ場所であってもナンバー1になる方法はいくらでもある
こうして全ての生物がナンバー1になっている、ナンバー1を分け合っている
その生物がナンバー1になれる場所は、その生物だけのものである。このナンバー1になれる場所がニッチである。つまり「ナンバー1になれるオンリー1の場所」である
ナンバー1になれるオンリー1の場所
また同じ町でも、あるラーメン屋は味噌ラーメンで町ナンバー1、あラーメン屋は塩ラーメンでナンバー1など、「ラーメン屋」という括りは同じだけど、ナンバー1で共存し合っている
ニッチとは、ナンバー1になれるオンリー1の能力を磨くと同時に、ナンバー1になれるオンリー1の場所を見つける事
条件や範囲を絞り込んですき間を狙っていったほうがナンバー1になりやすい
他の生物に合わせてニッチをずらしていく、これが生物のニッチ戦略なのである
競争に強いものだけが成功するとは限らないのが、自然界の面白いところ
つまり成功するためには、競争力以外の要素もあるということ
まともに競争して勝てないのであれば、悪条件で勝負するしかない
そんな悪条件で勝負するのが、SとRという2つの戦略
Sはストレス耐性である
過酷なストレスにじっと耐え忍ぶことも、立派な強さ
サボテンは、水のない砂漠に生えている
そこでは競争力は必要とされない。「水がない」という悪条件さえ克服することができれば、競争することなく、生存することができるのだ
もし競争力が弱いのであれば、ほかの植物の無駄な競争をして滅び去るよりも、激しいストレスに耐えるという戦い方もある
Rは、ルデラルである
予測不能な大きな変化が、突然起こる。それが「攪乱」である。そんな環境が植物の生存にとって適しているはずがない。競争に強いことなど、何の役にも経たない。必要なことは、次々に襲い掛かる「編か」に対応し、それをしなやかに乗り越えていく力なのだ
Rの変化に対応する力を強みにして、得意的な進化をしているのが「雑草」
3章 ルデラルという戦略
雑草は弱い植物である。まともに戦ったのでは、勝ち目がない。そこで競争力を求められない予測不能な変化の起こる場所を選んでいる
雑草という植物は「変化に対応する」というコア・コンピタンスで勝負することを選択している
変化を乗り越えるために最も必要なことは「スピード」である
次から次へとやってくる環境の変化に対して、素早く対応していく
もう1つ重要なことがある。それは「次への投資」である
今が良ければそれで安泰というわけにはいかない。次に向けた投資をしながら、ルデラルな植物は命をつないでいくのである
強さにも色々とある。
①ほかの植物を圧倒して打ち勝つ強さもあれば、②困難な状況を耐え忍び、じっと生き延びる強さもある。
③次々に襲い掛かる変化を乗り越えていくこともまた強さなのである
どの戦略が有利であるかは、環境によって変わる。そして環境に応じて、正確に戦略を選ぶ必要がある
4章 雑草の成功法則「逆境」
雑草の成功法則は、「逆境」×「編か」×「多様性」という掛け算で表される
弱者が勝つ条件として「恵まれた条件」でないこと
大雨や強風に特化した戦略を組み立てれば、弱小のサッカーチームが強豪チームに勝つことができる
安定した条件で勝利するのは競争に強い者
もし弱者にチャンスがあるとすれば、それは不安定な状況であり、恵まれない状況である
弱者は逆境を歓迎
強者が力を出すことのできない逆境にこそ、弱者が勝利するチャンスがある
成長点を低くし、根っこを残すという戦略
成長点と根っこという生存の基盤をしっかりと守って、危険にさらさない
チャンスをつかむのに必要なのは、タイミングとスピード
ルデラルの戦略に必要な要素は、「スピード」と「次への投資」
5章 雑草の成功法則「変化①」—-変化するために必要なもの
変えられないものは受け入れる
変えられるものを変える
誰かが決めた「べき」を捨てよ
「踏まれたら立ち上がらない」というのが本当の雑草魂
「立ち上がらない雑草魂」こそが、雑草のすごさ
踏まれながらどうやって花を咲かせるかということのほうが大切
たどり着くべきゴールが決まっているのであれば、そこに至る道はどこを通ってもいい。だから雑草は変化することができる
6章 雑草の成功法則「変化②」—-変化とはチャンスである
攪乱が起こるということは、多様な環境を作り出し、多様な条件を作り出す
複雑な環境にチャンスは宿る
7章 雑草の成功法則「変化②」—-時代の変化に対応する
競争に弱い雑草は、競争を避けて変化する環境に対応するというポジショニングが基本戦略である
パイオニアに求められるのは、とにかくスピードである。目の前には、競争相手のいない土地が広がっている。そこに求められるものは打ち負かす競争力ではなく、速やかに進出するというスピードだ
新たな土地を探し続ける
パイオニアの戦略にとって重要なことは「スピード」と「コストをかけない」こと
コストをかけずに成長し、次への投資をしておく
8章 雑草の成功法則「多様性」
小さなチャレンジを繰り返す
どう変化するかわからない状況では、何に投資していいのかも分からない
少しでも様々なものに投資をしたほうがいい
数多くのチャンスを見つけては、小さなチャレンジを繰り返す。そして数多くの失敗の中に成功を見つける。それが、予測不能な変化を生きる雑草の戦略なのである
戦う場所はしぼる。武器はしらない
予測不能な変化の起こる環境である。何が正しいかわからないのであれば、両方、用意しておくほうがいい
オプションは捨てない
オプションはたくさんあるほうがいい
いらない個性はない
9章 雑草の成功法則とは何か?
①弱さを見つめ、強みに集中する
②シンプルにすることで、新たな価値を生み明日
③できるだけ戦わない。変化によって生み出される新しい環境を捉える
④戦う場所は絞り込む。オプションは絞り込まない
⑤安易な価値づけをせず、多様であることに価値を置く
全ての資源を一度に投入してはいけない
二の矢、三の矢を準備しておく
特定の昆虫だけに頼っていては、何か起こったときには当てにならない。選り好みせず、より多くの種類の昆虫と後半にパートナーシップを結んだり、常に万が一のオペレーションを考えておく。もしもの非常時には、手段は多ければ多いほうがいい
10章 雑草の特長的な戦略
赤ペンチェックなし
11章 雑草と日本人
「あいまいさ」こそが日本人の武器
そもそも答えはイエスとノーしかないのだろうか。物事というのものは、表も裏もあり、全も悪もある
自然界にあるものに一切の境はない。堺目というものは、分類し、理解をするために人間が身勝手に定めたものに過ぎないのである
現在は、科学至上主義である
日本人のあいまいな考え方は、「科学的」で「論理的」な思考とそぐわない。しかし科学が万能かと言えば、そうではないというのが、21世紀を生きる私たちが感じ始めていることだ
あいまいなものを「あいまいである」と理解したほうが、正しいこともあるはずなのだ。「あいまいである」ことを恥じる必要があるのだろうか
結びに代えて
以上、稲垣栄洋さんの『雑草という戦略 予測不能な時代をどう生き抜くか』をご紹介しました。
個人的に感銘を受けたのは、以下のテキストです。
——————————
「踏まれたら立ち上がらない」というのが本当の雑草魂
「立ち上がらない雑草魂」こそが、雑草のすごさ
踏まれながらどうやって花を咲かせるかということのほうが大切
——————————
予測不能な変化の起こる現代で、どのようにサバイバルしていくのか。
示唆に富む内容が多かった良書でした。
省略しているところが大分あるので、ご興味お持ちいただけましたら書籍をお手に取ってみてください。
今後も様々なビジネス書籍などを紹介する予定です。
ご紹介時はTwitterやFacebookでアナウンスしますので、キャッチしたい方はフォローしてみてください。
みらい絵のTwitterを開く
みらい絵のFacebookを開く
本コラムが、あなたのお役に少しでも立てますと幸いです!